甘辛LOVER

旧:where there is no haiku

150317 新聞



小学館漫画賞を受け、近くSFアニメも封切られるマンガ家
 竹宮恵子

 裸の少年がからみ合うベッドシーンで、受賞作「風と木の詩」(週刊少女コミック)ははじまる。「少女漫画の類型的な恋愛ものに我慢ならなかったんです。少年の世界を描くのは、女の子ってなにかにつけ制限が多いでしょう。私は男の子にあこがれたし、少年になりたかった。女の子の保守的なところを、こわしたかった。だから、インパクト・衝撃的な作品を狙った。でも、八年前に編集者にみせたら、まだだめだといわれました」
 高校二年で投稿マンガが認められ、徳島大学を中退して上京。センセーショナリズムだけではなかった。同世代の萩尾望都とともに、少年や大学生、中年の男性まで、少女漫画に熱い目を向けさせるキッカケを作った。
 やはり受賞作の「地球(テラ)へ」(月刊マンガ少年)は、長編SFアニメーションになり四月に劇場封切される。
 「新人類と人間の宇宙戦争なんですけど……。例えば、若い女性って、結婚しても子供を産みたがらなかったり、流産したり、なにか原始的な部分をなくしているでしょう。不自然だなあと思う。人間は、もともと、どんな動物だったのか。本来の姿に帰ろう、というのがテーマ。連載をはじめたころオイル・ショックが起きたから、未来について警告も含めて」
 昨年中に出た少年少女向けマンガは、雑誌が約六億七千万冊、単行本も一億数千万冊にのぼる。ブームの中の売れっ子だから、女性アシスタントを四人使っても、毎日三時間しか寝られない。「でも、月に百枚程度です。千枚なんていうのは男のマンガ家。アシスタントでも、女の子は男性のようにマネして描けないんです。職人気質がない。背景ぐらいですから、大量生産できないんです」
 少女漫画というと、大きな瞳に星が飛ぶ乙女チックな絵を想像して、拒絶反応の人も多いですね。
 「女の感性がもっとも出ているのが少女マンガだから、結婚したときに役に立ちますよ。近い将来、大人は、マンガをみる人とみない人の派閥に分かれるんじゃない」。きょうで三十歳だが、いま少年のよう。
(鍛治 壮一)

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